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佐々木さんはカラスの研究家としても知られる。こちらはハンガーで作られたカラスの巣 |
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ハシボソカラス |
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ハシブトガラス |
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─ 伝え方で随分差が出るようですね。森が宝の山に見えたり。
━ ええ、モノクロの世界がカラーになるくらい。見るもの聞くものすべてが宝物に見えてしまうんですね。僕なんか自然観察をやり始めると一歩も動けなくなりますよ。10メートル歩くのに平気で1時間くらいかかっちゃう。(笑)
小さな種から大きな森まで見れるから、ほんとミクロからマクロまで宝の山ですよ。だから皆さんを案内する時は結構かいつまんで話しているんです。そうじゃないと進まなくて目的地までたどり着けないんですね。(笑)
本来人間ってみんな自然が好きなんですよ。これは動物の本能的なものからでしょうけど。例えばどんなに虫が嫌いな人でも、まったく一木一草なくなった方がいいと思っている人はいないと思うんです。 口でそう言ったとしても、実際そういう世界になったら息が詰まっちゃうでしょう。だから“本能的に自然の子供であり、一部である”ことを気付かせてあげる、そういうチャンスをあげる、というがおこがましいかもしれないけど僕らの最大の仕事です。
でも気が付いたら、そっから先はみんなでドンドン広がっていくから、ちょっと忙しくてそれを忘れている人や、たまたまチャンスが無かった人たちに「ワッ!」て扉を開くだけ。
けれど、その世界を知ったらみんな帰って来れないくらい魅力に取り付かれちゃう。でも街がいけないということじゃなく、そこにプラス森に行くとかすると、まさに人生がワンダーランドになるんじゃないかな。
子供たちも受験や現代の文化とかで色んな呪文にかけられているんですよ。「僕は虫や汚いものが嫌いだ」とか「山は苦手だ」とか。 それは何故かというと現場に行って「自然はワンダーランドだ!」って気持ちになったことがないからなんですね。
だから一度でもそういうところへ行けば分かると思うんです。目がキラキラしてくる。そういう瞬間を僕は「呪文が解ける」と言っているのですが、それを何度も見てますし、またそれが楽しいのですね。
今の子も、昔の子も同じなんです。自然が好きなのは本能だから、要はそれに出会えるチャンスの問題。
逆を考えれば、明治時代の頃の子供たちにTVゲームとか渡すとはまるでしょうしね。(笑)
せっかく自然も存在しているんだからゲームもいいけど、こっちもいいぞ、って。せっかく生きているんだから半分だけじゃおもしろくないし、両方楽しもう、って。
そして間違いなく自然の方が懐は広いし、体にいいですし、自然の方がまったくないというのもバランスが悪いですからね。
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